剽窃(plagiarism)とは
研究論文における剽窃とは、他の著作物の文章やアイディアを、出典を明記せずにあたかもその論文で初めて発表されたものであるかのように使用する行為のことです。他人の著作物だけでなく自分の論文から文章をコピーする行為も自己剽窃(後述)という不正になります。
・他人の著作物から文章をコピーする行為
絶対にやめましょう。
・他人の著作物からアイディアを盗用して自らがオリジナルであるかのように発表する行為
自分の論文で発表するアイディアが既に他の文献で発表されていてそれを知らなかった場合、研究不正とは認定されない場合もありますが、そのようなことが起こらないように関連文献の調査は入念に行いましょう。
・自己剽窃
自らが以前発表した論文などの著作物から文章を転用する行為。これを不正行為だと認識していなかったり、程度によっては許容されると考えている研究者もいますが、避けたほうが良いです。特に実験のプロトコルなどは誰が書いても同じになってしまう、といった事情がある場合、他の文献とかなり一致してしまうこともありますが、それでも各文のレベルで一致しないようにすることが推奨されます。それ以外での部分で大幅に自己剽窃した場合は不正と認定される可能性が極めて高いです。
剽窃しないために
まず、引用するしないにかかわらず、参考にした文章があったとしてもどの文も同一にならないようにすることが大前提です。文献を引用する場合は正しく引用を行います。
1.出典を明記する
文献を引用して、その内容がどの論文で発表されたものなのかを明示します。
2.内容を適切に言い換える(パラフレーズ: Paraphrase)
文献を引用する場合であっても、基本的に厳密に同じ文章を使うのは避け、適切に言い換える必要があります。このパラフレーズに関してはこの動画に良くまとまっています。
3.直接引用
全く同じ文を引用しなければならない場合は引用符 “…”を付けて、それが引用であることを明示します。
剽窃を疑われないために
自分が他の文章からコピーしていなければ剽窃していないことは(自分にとって)明らかですが、意図せず他の文献の文章と高い割合で一致してしまっている可能性もあります。これをチェックするためには専用のソフトウェアが存在し、大学などで利用できる場合が多いです(例:iThenticate)。論文発表の際にはこのような専用ソフトウェアでのチェックを義務付けている機関もあります。また、そのようなソフトウェアがない場合、英語校閲業者などが代行でチェックしてくれるサービスも存在しています。
さいごに
剽窃は研究者生命にかかわる重大な研究不正です。もちろん他人の論文から文章をコピペするなどは論外ですが、本人が意図していなくても不注意によって剽窃をうたがわれたり、ルールに抵触してしまうこともあり得ます。このような余計なリスクを負わないよう、正しい研究倫理に基づいて研究を行いましょう。
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