研究者としての評判を高め、維持するために重要な10個のルール

[紹介論文] Bourne PE, Barbour V (2011) Ten Simple Rules for Building and Maintaining a Scientific Reputation. PLoS Comput Biol 7(6): e1002108.

[論文URL] https://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1002108

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計算生物学のジャーナルPloS Computational Biologyには10 Simple Rules (https://collections.plos.org/ten-simple-rules)という企画があり、研究者がキャリアの中で直面する様々な問題に対して、一つのテーマにつきノウハウを10個にまとめた記事たちが公開されています。ここでは、その内容のまとめをシェアします。今回は、 Bourne PE, Barbour V (2011) “Ten Simple Rules for Building and Maintaining a Scientific Reputation.” の内容について紹介します。

尚、元の記事(https://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1002108)はクリエイティブコモンズライセンスが適用されており、本記事について著作権上の問題が発生しないことを確認しています。

 

ルール1:行動する前に考える

科学では、投稿した論文に対してしょうもないレビューを受け取った時とか、セミナーの発表で批判を受けた時とか、ムカッとくる場面がたくさんあります。電子メールやその他オンライン媒体のある現代では、相手を不快にさせる方法ですぐさま反応するのは、非常に簡単なことです。しかし、してはいけません。考え抜き、いったん眠り、あくる日になってから、邪魔をしている当事者に、プロフェッショナルで思いやりのある対応をしましょう。どんな状況でも、挑発にのってはいけません。デジタルで投稿されたすべての単語は即座に伝えられ、どこかに永久にアーカイブされ、いつでも取り戻すことができる時代ですから、そうした態度がいずれ奏功するのです。

ルール2:批判を無視しない

あなたから見て、批判が当然であるかどうかにかかわらず、それを無視しないで、ルール1にのっとって対応しましょう。批判に応じないことは、その批判を認めたこと、批評家に対する尊敬の欠如と見なされます。どちらも避けるべきことです。

ルール3:人を無視しない

あなたが人々の価値を値踏みして、それに応じた態度を取ることは簡単です。特に学生は軽い扱いを受けるでしょう。しかし、いつかはこれらの学生の多くがあなたのキャリアに何らかの影響を与えるでしょう。誰かに対応するとき(またはしないとき)、そのことについて考えてください。あなたの仕事についての質問であろうと仕事の要請であろうと、それが難しい時ほど、しっかり個人として学生や他の人からのメールや電話に反応するようにしてください。他に理由がなくても、あなたはその人に返答するだけで価値を認めてもらった感覚を与えます。他人を無視しないというのはこれだけではありません。例えば、論文の共著者に含めるべき人を含めないのもこれに含まれます。そのつもりがなかったとしても、他人を犠牲にして、論文の内容を自分の手柄にしようとしているように思われてしまうでしょう。もちろんあなたの評判に悪い影響を与えます。

ルール4:真剣にチェックし、真剣に出版する

科学は確実に進歩するものではありません。それゆえうまくいったときの喜びはひとしおですが、研究者を職業として非常に難しいものにもしています。あなたが出版した内容のすべてが、例えば向こう50年間で正しいと証明されるの保証することはできません。しかし、あなた自身が、その論文が当時の認められた基準に沿って行われ、投稿に際し熱心に、直接、何度もチェックしたことは、自信をもって保証することが可能です。筆頭著者としては、あなたは請け負っている仕事の正確性を把握している唯一の人かもしれませんが、本来、すべての執筆者はその論文に対して責任を負うものです。ですから、あなたの貢献の大小にかかわらず、あなたが生成したデータの品質と正確さに関しては、あなたの共著者と共に常に万全を期してください。シニアの研究者になると、原稿草稿を額面どおりに取り、それを公表してすぐ次へ進むのは簡単なことです。このような行動は、あなたを蝕み、ずさんな仕事への感度を鈍らせ、最悪の場合、ねつ造の疑いがかかる事があります。筆頭著者であったら、他の著者を失望させ、あなたの伸びゆくはずだった評判に影響を与えます。責任著者であったら、誤りのある研究を公表したことは、あなたの評判にもっと直接的で長期的な影響を与えるでしょう。ですから、論文を真剣に取り扱ってください。ギフトオーサーを受け入れることも与えることもしてはいけません。逆に、どんなに貢献が小さくても著者になるべき人は著者に入れなくてはなりません。オーサーシップはギフトではありません。それは獲得しなければならないものだし、ギフトに使用することはオーサーシップの価値を下げることに繋がります。ゴーストライターの論文の著者になることに決して同意しないでください。良くて利益相反、悪いときには規則違反の結末が待っています。

ルール5:常に利益相反を宣言する

金銭的なもの、専門的なもの、個人的なものなど、誰もが利益相反の関係にあります。それらが人からどのように見られているか、自覚することは不可能です。相反が隠蔽されていたり、うまく管理されていないと問題が起こります。したがって、助成金の査読者、科学諮問委員会の委員、論文の査読者など、新しい科学的な取り組みに着手するときは、他の人が、あなたが何を得ると思っているかに注意してください。例えば、私たちは査読から学ぶことがあると考えているので、論文の査読を引きうけます。それはいいとして、誰かが、あなたが競争相手の論文を査読することによって、普通では得られない知識を得るのではないか、と考えた時に問題が起こります。グレーゾーンはどこにでもあるため、あぶないと思ったら査読を断りましょう。利益相反に適切に対処しないと、最終的には評判に影響を与えます。

ルール6:コミュニティに貢献する

与えられた以上に返すことをしない科学者に対する、暗黙の批判がしばしば見られます。論文の査読を引き受けないのに、いつ査読が終わるかといつも最初に問い合わせてくるとか、公開データを沢山使っているのに自分のデータはなかなか登録しないとか、学会に参加するのに運営には回らないとか、といった人がいます。気づいている人はちゃんといて、いずれ評判を落とすことになります。

ルール7:できないタスクを引き受けない

期限に遅れる人は、いつも同じ人である傾向があります。長期間にわたり広く知られるようになると、否定的に認識される可能性があります。できる人に仕事が集中することは、人間の習いですが、自身の評価を守るために、ノーという方法を学んでください。

ルール8:助成金および論文のレビューを適当に書かない

優れた査読者または編集者は、考える以上の価値があるものです。礼儀正しく、タイムリーに、建設的に、そして思いやりを持ち、理想的にあなたのレビューに署名しましょう。しかし、正直ではありましょう。最も価値のある査読者は、既に権威となっている著者に対しても、正直なフィードバックを提供することを恐れない人です。雑誌編集者は、誰が良い仕事をし、誰がしないのかという感覚を急速に発達させます。プログラムオフィサーや助成金のレビューについても同様です。そのような認識はあなたの評判に影響を与えます。短期的な利益は、あなたが審査を依頼される論文や助成金が少なくなることですが、より長期的には、信頼された査読者であることは、その分野に関する知識の豊富さを裏付けるでしょう。論文に比べれば、査読の影響は小さいですが、すべてはあなたの全体的な評判に加算されます。

ルール9:ふさわしくない人には推薦状を書かない

別に支持者になりたくないと思っていても、推薦状を頼まれたら断るのは難しいものです。でもそうしないといけません。推薦状を断らない場合、替わる方法は、(a)推薦者をよく思われないように書く 、(b)大げさに褒め称える、です。 (a)は怒りを買うことになるでしょうし、(b)は推薦者がすぐクビになったりしたら、あなたの動機や判断力を疑われ、評判を落とす羽目になるでしょう。

ルール10:剽窃・改竄は絶対ダメ

これは言うまでもないことなのですが、未だに起こっているだけでなく、より頻繁になっているので、あえて言わなくてはなりません。電子化の時代において、20年前には想像もできなかった、データ、画像、および単語を処理するためのツールが用意され、学生やポスドクは、これらのツールの使用に特に長けています。それでも、データ、画像、およびテキストの整合性の基本原則は、100年前と同じままです。許容できると明示された範囲を超えてこれらの要素を改変したならば(たとえば、多くの雑誌は画像に関するガイドラインを持っています)、それぞれデータ操作、画像操作、剽窃の罪を犯したと見なされます。さらに、これらはいつか見つかります。これらすべての不適切な方法を見つけるためのツールは現在洗練されており、広く適用されています。例えば、画像データの一点が良く見えるように、コントラストを調整するといった、良かれと思った改変でも、それがどのような印象を与えるか、最悪の場合、読者の多くにデータの品質について誤った感覚を与えてしまう可能性がることを、常に考えていなければなりません。残念なことに、たとえ誠意を持って行われたとしても、これらの行為のどれかが発見された、あるいは疑われただけでも、自分のキャリアへの影響は壊滅的なものになる可能性があります。

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