子どもにおけるヒトと動物のベビースキーマの影響(Borgi et al., 2014)

[紹介論文] Borgi, M., Cogliati-Dezza, I., Brelsford, V., Meints, K., & Cirulli, F. (2014). Baby schema in human and animal faces induces cuteness perception and gaze allocation in children. Frontiers in psychology, 5, 411.

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introduction

  • Biophilia Hypothesis:ヒトは生得的に他の種に対して興味や注意を示すという仮説
  • イヌやネコなど一般的なペットは、家畜化の副産物として形態的・行動的に乳児的特徴を成人期まで保持している可能性がある。⇒ペットの魅力の基礎的なものかもしれない
  • ベビースキーマ(乳児的特性)は、ヒトや動物においても共通して見られる。Golle et al. (2013)では、ヒトとヒト以外の幼若個体の顔のかわいさの符号化に関して、共通のメカニズムの存在を示唆している。
  • 本研究では、評定と注視行動により、ヒトと動物の顔のベビースキーマから、ヒトの幼児の知覚が受ける影響(ベビースキーマの影響は発達初期にも見られるのか?)を検討した。
    • 刺激はパラメトリックに操作したため、刺激における個人差とベビースキーマによる影響を分離することができた。

Materials and methods

  • 刺激はヒト・イヌ・ネコについて成体と幼若の6つのカテゴリから構成され、1カテゴリ20枚のneutralな表情写真が用いられた。画像はGlocker et al(2009)の方法にそって、ベビースキーマの程度が操作された。

Exp.1

  • 参加者:子ども50人(男児27人・女児23人の3~6歳:M = 4.5, SD = 1.0)
  • 刺激:同じ個体のベビースキーマの程度が高いものと低いものを対呈示。
  • 従属変数:注視時間
  • 独立変数
    • 参加者内要因:画像の種(ヒト・イヌ・ネコ)・年齢(成体・幼若)・ベビースキーマ(操作の高・低)
    • 参加者間要因:性別・ペットの飼育経験

Exp.2

  • 参加者
    • 子ども32人(男児16人・女児16人の3~6歳:M = 4.8, SD = 1.0)
    • 大人58人(男性10人・女性48人の18-47歳:= 21, SD = 5.9)
  • 刺激:ベビースキーマについて操作済みの画像が単呈示された。ただし、同じ個体のベビースキーマが高いものor低いもののいずれかが見せられた。
  • 従属変数
    • 注視時間(子ども)
      • 独立変数:Exp.2の要因に加えて参加者内要因としてAOI(目・口・鼻)
    • 5件法でのかわいさ得点(子ども・大人)
      • 独立変数:Exp.1の要因に加えて参加者間要因として参加者タイプ(子ども・大人)

Results

Exp.1

  • 参加者間要因については、注視への影響が見られなかった。
  • 種によらず、高くベビースキーマが操作された画像はより注視された。
  • 成体の画像においては、高くベビースキーマが操作された画像のほうが、低く操作された画像よりも注視されたが、幼若の画像については、そのようなことは見られなかった。

Exp.2

かわいさ評定(子ども・大人)

  • 参加者間要因の性別の影響は見られなかった。
  • 画像の動物種と年齢について、主効果と交互作用の両方が見られた。
    • 成体の画像のとき、イヌ>ネコ>ヒトで高い評定がされた。
    • 幼若画像のとき、イヌ=ネコ>ヒトで高い評定がされた。
    • すべての種において幼若画像は成体画像よりもかわいいと評定された。
  • 種によらず、高くベビースキーマが操作された画像はかわいいと評定され、特にペットの飼育経験がある参加者においては評定への影響が顕著に見られた。
  • 参加者タイプ(子どもor大人)の主効果は見られなかったが、画像の年齢との交互作用が見られ、大人の参加者は成体の画像よりも幼若の画像をよりかわいいと評定した。

注視時間(子ども)

  • 参加者間要因の性別とペットの飼育経験の影響は見られなかった。
  • 動物種の主効果は見られなかった。
  • 幼若の画像への注視時間は多かったが、ベビースキーマの操作の程度の影響は見られなかった。
  • AOIの主効果が見られ、目>鼻>口の順で注視が多かった。また、AOIと動物種・年齢・ベビースキーマの操作の程度にそれぞれ交互作用が見られた。
    • イヌ・ネコでは目に対する注視が多かった一方で、ヒトでは口に対する注視が多かった。
    • 高くベビースキーマが操作された画像に対して、低く操作されたものよりも目への注視が多かった。

Discussion

  • 本研究では、子ども(3~6歳)の選好注視とかわいさの知覚にベビースキーマが与える影響を示すと同時に、この影響はヒト以外の種においても見られることを示唆した。
  • 高くベビースキーマが操作された画像に対する選好は、成体の画像を見ているときには明白であったが、幼若の画像を見ているときはそうではなかった⇒幼若の画像について、ベビースキーマの程度の弁別ができなかった可能性がある。しかし、成体の画像に対する反応については、ベビーフェイスな成体の顔を見ることの新規性が影響を与えている可能性を排除できない。
  • ベビースキーマの程度が、かわいさの知覚を活性化させていることを示すとともに、対象種を越えて、かわいさの知覚の根底にある共通の処理のメカニズムの主張を支持した。
  • ベビースキーマの影響における性差が見られなかったことについては、男女数の差あるいは、年齢が若いため子どもがいない参加者であったことに起因しているかもしれない。
  • また、AOIについてはイヌ・ネコについては顔を探索するときにヒトが用いる一般的な眼球戦略と一致する。しかし、各AOIに対する注視分配は種によって異なり、イヌ・ネコと比較して、ヒトにおいて有意に注視された口については、視覚的コミュニケーションや言語理解するための口の受容性を示しているかもしれない。一方で、イヌ・ネコにおいては情動手がかりなどを処理する際の知覚経験などの欠如により、口への注視が少なかった可能性も考えられている。

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