混雑した群集の乱流的挙動の連続モデル

[紹介論文] Abhinav Golas, Rahul Narain, and Ming C. Lin, Phys. Rev. E 90, 042816 (2014)

[論文URL] https://journals.aps.org/pre/abstract/10.1103/PhysRevE.90.042816

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人口が世界的に増え続け、特に都市の人口過密が進行しつつある現代において、非常に混雑した状況下にある群集の集団運動を理解することは非常に重要である。群集の集団的挙動の模擬において、紹介論文より以前の人と人との衝突を避けるアルゴリズムを取り入れた連続模型では群集の乱流的挙動の良い模擬ができていなかった。

ここで紹介論文では、「摩擦力」を下記のように導入している。まず、群集の「圧力」を群集密度に応じた「不快度合い」により定め、次に「摩擦応力」を群集の運動エネルギーの「圧力」に関連した条件付き停留条件により逐時定めている。以上はナビエ・ストークス式(流体力学の支配方程式)的な駆動力として運動方程式に追加され、衝突回避挙動と合わせて群集の集団挙動全体を表現している。

紹介論文では、イスラームのメッカ巡礼(ハッジ)等の実事例を提案アルゴリズムにより数値的に模擬している。「摩擦効果」の導入無しでは「圧力」が「乱流遷移」の閾値を上回らない、すなわち「乱流的群集挙動」の再現には「摩擦効果」が重要であることを示している。紹介論文中に示された数値計算結果には実際のメッカ巡礼で観察された「群集乱流」の定性的特徴が再現されており、提案モデルが乱流の再現に適したモデルであることが示されている。

紹介論文中で示された群集乱流モデルがパラメータ調整や現実の群集挙動との比較により精度が高められ、群集の高密度状況がより精度良く模擬され、現実世界の群集雪崩の阻止に役立てられることを期待したい。

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