Subjective-well being の高さと脳の構造には関係があるのか?

[紹介論文] D. Van ‘t Ent, A. den Braber, B. M. L. Baselmans, R. M. Brouwer, C. V. Dolan, H. E. Hulshoff Pol, E. J. C. de Geus & M. Bartels (2017) Associations between subjective well-being and subcortical brain volumes, Scientific Reportsvolume 7, Article number: 6957

[論文URL] https://www.nature.com/articles/s41598-017-07120-z

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Subjective well-being(SWB:主観的幸福感)が高いことは私たちの人生に様々なプラスの影響を及ぼします。例えば、SWBが高いほど、生産性が高く、社交的であり、所得が高い傾向があります。
双子を対象にした多くの研究によって、このようなSWBに遺伝的要因が寄与していることが示されています。その神経生物学的基盤として、脳の様々な構造(主に、偏桃体、海馬、内側側頭葉)とSWBの関連が先行研究で示されています。

この論文では、一卵性双生児、二卵性双生児、兄弟姉妹、計724人分の脳の構造的MRIデータとSWBを測定したデータを用いて、SWBの皮質下基盤の理解を深めることを目指しています。SWBと脳の関連を調べるにあたり、メンデルランダム化、twin modeling、二変量LDスコア回帰の手法を用いて、遺伝的な因果関係を推測しました。

分析の結果、SWBと左右の海馬の容積の間に非線形の関係があることが明らかになりました。海馬が小さい参加者ではSWBが低いが、海馬の体積が中程度以上の参加者の間では差がないという結果です。一方、基底核、視床、扁桃体、側坐核の核など、他の皮質下構造の体積とSWBの関連は見出されませんでした。
また、メンデルランダム化によって検討したSWBと海馬の因果的方向の評価は、SWBの遺伝子から海馬の体積へのパス、逆に海馬の遺伝子から、SWBへのパスの存在を示しませんでした。twin modelingおよびLDスコアの回帰結果でも、同様に、遺伝的相関は示されませんでした。

SWBの低さは海馬の小ささと関連していますが、この関係において遺伝子はあまり重要ではないと言えます。代わりに、ストレスやストレスホルモンへの曝露などの他の病因的要因が、SWBおよび海馬に有害な影響を及ぼし、観察された関連性をもたらす可能性があります。

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