海外のアカポスに応募する際のカバーレターを書くときに重要なポイントまとめ

ナレッジ
Like+2
お気に入り

計算生物学のジャーナルPloS Computational Biologyには10 Simple Rules (https://collections.plos.org/ten-simple-rules)という企画があり、研究者がキャリアの中で直面する様々な問題に対して、一つのテーマにつきノウハウを10個にまとめた記事たちが公開されています。ここでは、その内容のまとめをシェアします。今回は、Lubomir Tomaska , Jozef Nosek ”Ten simple rules for writing a cover letter to accompany a job application for an academic position”の内容について紹介します。

尚、元の記事(https://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1006132)はクリエイティブコモンズライセンスが適用されており、本記事について著作権上の問題が発生しないことを確認しています。

カバーレターとは指定された履歴書や参考資料といった書類と一緒に同封する添え状のことです。下記の記事は海外での採用を念頭に置いているため、国内の公募で普通の人がつける添え状の内容とは若干異なっているようです。国内の場合は別途、研究計画や抱負を明示的に書く書類を要求されますが、これが大体下記の内容に相当するかと思います。

 

自分の能力や好みに最も適したアカポスを見つけるということはむずかしく、一つの公募ポストに数十人以上の応募者が押し寄せているのが現状です。その結果として、採用する方は履歴書に記載されている過去の実績を含む、いろいろな判断基準に基づいて候補者の質を判断しようとします。教官や指導者、または同僚からの推薦状、実験の技術やプレゼンのスキル、研究計画、などなど。多くの場合、採用する側と応募者との最初の接触は、カバーレターを介したものになります。うまく作成されていれば、カバーレターは自己紹介、最初の選抜、そして候補者としてのふさわしさを訴える力を兼ね備えます。反対に、平凡で退屈で、誤字が多くて印象の悪いカバーレターは、採用選考から即離脱する可能性を高め、夢見ていたポストへの道が閉ざされるという取り返しのつかない事に繋がります。以下に紹介するポイントは、評価の次の段階に進めるためのきっかけとなるカバーレターを作成するのに役立ちます。学術関連の職位のための項目(博士課程の学生、ポスドク、講師、教職員など)ではありますが、企業への就職を希望している場合にも、覚えておいたら役に立つものと思います。

 

ルール1:応募を検討する前に、あらかじめそのポジションの長所と短所をリスト化する

 

1838年11月11日、チャールズ・ダーウィンはいとこのエマ・ウェッジウッドに求婚し、日記に「今日こそがその日」と記しました。二人の幸せな結婚生活は43年に渡り続く事になりますが、その事自体が、ダーウィンの求婚とエマの承諾、双方の判断が正しかったことを証明する事になりました。ところでダーウィンに関してそれほど知られていない事実があります。婚約前の数ヶ月間、彼は「結婚についてのメリットとデメリット」を評価するメモを作成していたのでした。ダーウィンの例にならい、応募申請書の作成を始める前に、そのポジションに応募すること利点および欠点、それぞれの理由をまとめておくことが役立つはずです。そのポジションにつけたとして、あなた自身にそれがフィットしそうかどうかを入念に研究しましょう。求人票やホームページに書かれている以上の情報を判断材料とするために、指導教官、アドバイザー、同僚に相談しましょう。自分自身にとって有益な事が多いと判断できた場合にだけ、カバーレターの作成に取り掛かりましょう。それでこそ、熱意に溢れた文書を作成することが可能になるのです。

 

ルール2:短くシンプルに

話す時でも書く時でも、効果的に行うための重要なポイントです。カバーレターに関しては、指定された書式がない限り、2ページまでに収めましょう。指定された人に宛てて作成します。短い導入は、「とっかかり」として、選者らの注意を引かせる効果を持ちます。次に、簡潔だけれども明確に、最重要かつ関連性のある自身の経歴についての要約を続けます。これまでの研究、教育実績、管理者能力などの項目は、そのポジションに適するようなバランスで考える必要があります。そして、なぜそのポジションがあなたの興味を引いたのか、あなたのキャリアプランとってどのようにふさわしいのかを説明します。簡潔に、的確に。焦点がぼやけていると、読み手はすぐに興味を失って、次の申請書に気を移してしまいます。履歴書の使い回しではダメです。それよりも履歴書や経歴書に見え隠れしていることを、浮き彫りにすることです。履歴書の内容と矛盾がないようにしましょう。デジタル方式のカバーレターを提出する場合は、あなたのウェブサイトや業績リストなど、関連するリンク先を参照できるようにします(研究者IDデータベースやGoogleScholarなども)。カバーレターの締めくくりは、導入部と同じくらい重要です。はっきりしないような、ぼんやりした最終章に迷い込まないように。面接を志望する意向を、明確に表して文書を締めくくりましょう。

 

ルール3:前例を踏襲するのではなく、個性的なものを

カバーレターの成功例を読むことは有用ですが、そのスタイルや内容にあまり影響されないでください。自分のスタイルで。カバーレターはあなたの応募書類の入り口となるものです。ワインのコルクのようなもの、つまり、ワインのコルク栓にヒビが入っていたり腐っていたりしたら、中のワインを注いでどんな品質だろうかと評価する気は失せてしまうのが普通です。そんな風に、興味を惹かないカバーレターは、採用担当者の、応募書類を全部見てポジションにふさわしいかどうかを考える気力を削いでしまいかねません。

 

ルール4:やる気と真心を示す

研究職に応募する場合は、次の質問への答えを用意してください。 なぜこの求人を選んだのか?研究室のプロジェクトのどこに興味があるのか?プロジェクトのどの部分にチャレンジしたいのか? 最近の出版物のタイトルを読んだだけなのではなく、将来の雇い主と肩を並べるほど、方法論、実験デザイン、分析法に精通していることを示す必要があります。これは、検討対象となっている現象をより理解するために、今後必要な実験や研究の方向性を示唆することの助けになります。教職員の場合は、あなたが所定の機関でキャリアを積みたい理由を説明してください。その学部の他の研究室と共同研究を行うことが相互に有益となるものであること、研究への協力をどのように取り付けるかの計画を示し、また、教育を重視するポジションならば、学生やポスドクの指導歴、教育への熱意をアピールしましょう。

 

ルール5:自分のことを正直に

あなたの特徴を浮き彫りにするストーリーの形で、あなたの性格を表現しましょう。状況と関係なくあなた自身を最もよく表現する形容詞をいくつか選んでおきましょう。あなたが特定の分野に興味を持つに至った道について物語りましょう。積極的に!

 

ルール6:強みを強調する

その研究室や機関は、あなたを採用する事に意義があるでしょうか。主要な業績と技術的なスキルを挙げましょう。あなたの能力や興味が、ポジションにどうふさわしいかを明確に述べてください。申請している特定のポジションに、あなたがなぜ、特に適しているかを強調しましょう。あなたの強みのどの部分で、他の候補者と差別化できるか説明するのです。あなたの経歴が、雇用側が求めている基準のすべてと正確には一致しない場合は、必要とされる特定のスキルを習得するために何をするつもりかを具体的に述べてください(特別コースやトレーニングなど)。プロジェクトの主導者として、チームメンバーとして、効果的なコミュニケーターとして、振る舞えるという強みを忘れず記載しましょう。

 

ルール7:リサイクルしない

複数のポジションに応募する場合は、応募先機関の名前を変更するだけで同じテキストを使用する行為は避けるべきです。それぞれの応募先にふさわしい文書に誂えることが重要です。どんな研究グループも機関も、それぞれの独自性に誇りを持っています。テンプレ通りの文書は簡単に見透かされます。そのようなカバーレターでは、焦りや不勉強、応募先への興味の少なさが際立ってしまい、応募書類はゴミ箱行き確定です。

 

ルール8:言い過ぎやウソは禁物

自分を飾りすぎる虚飾は、胡散臭く思われますし、虚偽を記載した場合は、それがバレたらすぐにクビになる結果が待っています。よく見せようとしないことです。もったいぶった言い回しや決まり文句は避けましょう。正直に、誠実に、誇張はしないで。採用された時にできることとして、壮大すぎる提案をするべきではありません。できない約束はすべきではありません。そうした虚飾を抱えたまま、問題や衝突を起こす羽目に陥るより、採用されない方がずっとましだということを忘れないでください。

 

ルール9:書式のフォーマルさを軽視しない

よく練られていて、見栄えが良く、文法の間違いや誤字のない文書は、読み手に応募者自身の資質がそこに表れていると思わせることができます。自分のことを表現しているのに、そこに間違いがあるとなると、信用得るのは難しいです。内容、正確性、スタイルの校正は非常に重要です。自分でチェックすると同時に、スペルと読みやすさをチェックしてくれる同僚や信頼できる人と連絡が取れるようにしておきましょう。自動スペルチェッカーでは、同じスペルの単語や同義語の不適切な使用法を完全には捉えられないかもしれません。受取人の名前と所属機関の名前を正しく書くこと、日付と住所に間違いがないこと、リストや箇条書きを避けること、あまり使われないような読みにくいフォントの使用はしないこと、といった点に特に注意してください。

 

ルール10:計画は入念に、焦りは禁物

 

完璧なカバーレターができたと思ったときは、何日か間を空けてから、あなたが採用者になったつもりで読み返してみましょう。少し離れていることで、作成していた時にはわからなかった問題に気づきやすくなります。eメールで提出する場合も、書式はきちんとしましょう。参照先や適切な様式については、事前に問い合わせておきます。完成させるための時間を確保しましょう。国ごとに応募プロセスは異なるため、これらの注意点が全ての国の場合に対応している訳ではありません。その地域の慣習をよく知る人に確認してもらうと良いでしょう。そして、絶対に締め切りに遅れないこと。

 

最後に:

 

うまく書かれたカバーレターは、採用されるための小さな一歩に過ぎませんが、適切な候補者を雇おうとしている採用担当者の興味を引き、他の候補に先んじるために有用です。正式に要求されていなくても、応募書類の中に含めるべきです。募集ポジションに関連した申請者の資質を強調でき、もっと詳しく知りたいと思ってもらえた時に、長い履歴書のどこを参照すれば良いかを示すことができます。 例えて言えば、カバーレターは応募のドアの取っ手、つまり、そのドアが閉じられるのか開かれるのかは、カバーレターの品質次第なのです。

論文ナビに登録すると・・・
①最新情報をメールでお届け!
  • 話題のニュース一覧
  • 注目のプレスリリース
  • 論文解説・最近のイベント
②論文解説記事の投稿
  • ご自身の論文の解説
  • 読んだ論文のメモ
  • 研究に関する情報のシェア
③セミナー情報の宣伝
  • ご自身が主催するイベント情報を投稿してシェア
  • ユーザーで作るセミナー日程まとめに参加
X
- Enter Your Location -
- or -
パスワード再発行
お気に入り
  • Total (0)
0