称えられないヒーローが必要?協力社会を陰で支える社会規範を解明

[紹介論文] Yamamoto, H., Okada, I., Uchida, S. & Sasaki, T. A norm knockout method on indirect reciprocity to reveal indispensable norms. Sci. Rep. 7, 44146 (2017).

[論文URL] https://www.nature.com/articles/srep44146

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立正大学の山本仁志教授を中心とする研究チームが、協力社会の進化プロセスにおける社会規範の役割について最新の研究成果を発表した。今回の研究は岡田勇准教授(創価大学)、内田智士研究員(倫理研究所)、佐々木達矢研究員(ウィーン大学)との協働で行われ、その成果は2017年3月9日に英国Nature Publishing Groupのオンライン学術誌Scientific Reportsに掲載された。

「情けは人のためならず」という諺が示すように、ヒトは直接的な見返りが期待できない他者に自分がコストを払って協力をすることがしばしばある。このような協力が安定して成立するためには、非協力的な人だけが得をしないように、良いヒトと悪いヒトと判断する評価ルール(規範)が必要であり、有効な規範の精緻な分析が進められてきた。しかし社会的多様性のもと、様々な規範が混在する中からどのような過程を経てどのような規範が社会で受け入れられるのかは未解明の課題であった。

今回研究グループは、利他行動が進化する過程で協力を生み出す役割と協力を維持する役割は異なる規範が担っており、協力が進化するためには陰で協力の進化を支える規範が必要であることを明らかにしたと発表した。具体的には、規範ノックアウト手法(Norm Knockout Method)という新たな分析手法を提案し、これにより、「良いヒトへの協力することただその場合のみが良い」という厳格な規範が社会に存在しない場合と、「相手が誰でも、協力行動なら良く非協力行動なら悪い」という単純な規範が社会に存在しない場合では、協力は進化し得ないことが分かった。注目すべき特徴は、これら二つの規範は協力が安定した後の社会では絶滅、または極めて少数派となってしまうことである。研究チームはこのような「協力進化の途上では必須だが協力が達成された後は淘汰される規範」を影の英雄規範(Unsung Hero Norms)と名付けた。

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