ハヤブサが狩りのために急降下するのは理にかなっていた
[紹介論文] R. Mills, H. Hildenbrandt, G. K. Taylor, C. K. Hemelrijk (2018) Physics-based simulations of aerial attacks by peregrine falcons reveal that stooping at high speed maximizes catch success against agile prey. PloS Computational Biology 14(4), e1006044
[論文URL] http://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1006044
ハヤブサなどの猛禽類は狩りを行うときに高いところから急降下して獲物を捕まえます。こうした狩りの方法は、一見して難易度が高そうで、しかも身体的・認知機能的にもコストの高い方法のように見えます。これらの動物はなぜこのような狩りの方法を行っているのでしょうか?
エージェントベースモデルによる分析
著者たちは、ハヤブサの飛行時の空気力学、羽ばたき方、獲物をどのように認知するか、獲物に対してどのように追従するか、などを考慮したモデルを作りました。このモデル上で様々な採餌の戦略をシミュレートした結果、高速な飛行が強い空気力を生み出し、自身の素早い動きを可能にした結果、狩りの成功確率を上げることが分かりました。ただその分、精度の高い身のこなしが必要になるため、高い狩りの技術がないと成立しない方法だということもわかりました。実際のハヤブサの飛行を測定すると、このような最適な制御をおこなっていることが分かったのです。